「生命倫理と人権」について、弁護士 長谷川知正非常勤講師の講義に参加しました。
資料を読んで強く感じたのは、
医療とは単に“病気を治す技術”ではなく、
“人の尊厳と自己決定をどう守るか”という問題でもある、という点でした。
配布資料の概要
1. 医療と法の基本枠組み
医療行為は、
- 憲法の基本的人権(生命・自由・幸福追求)
- 医師法(資格・業務範囲・医療水準)
- 刑法(殺人・傷害・過失致死傷)
- 民法(損害賠償・不法行為)
の上に成り立つ。
医師は「医療水準に従った診療」を行う義務があり、
誤診・不作為・説明不足などがあると、
刑事責任(業務上過失致死傷)や
民事責任(損害賠償)が発生する。
2. 母体保護法・人工妊娠中絶・胎児の扱い
- 母体保護法は「母体の生命と健康の保護」が目的。
- 医薬品・医療機器の安全性確保(医薬品医療機器法14条の3)も関連。
- 胎児は民法上「出生後に権利が遡及する」扱いだが、
医療行為では生命保護の観点から慎重な判断が求められる。
3. 安楽死・尊厳死の法的位置づけ
● 積極的安楽死(致死薬の投与)
- 日本では原則 殺人罪(199条)・同意殺人罪・自殺幇助罪(202条)
- 例外的に「故意が否定される場合のみ」許容の余地。
● 消極的安楽死(治療中止)
- 不治・回復不能・激しい苦痛・本人の意思などが要件。
- 医師の倫理的判断が重視される。
● 尊厳死(延命治療の中止)
- 刑法35条(正当行為)・37条(緊急避難)で正当化される場合あり。
- 民法上は「本人の同意+医師の判断+家族の同意」が必要。
4. 医療過誤(誤診・不作為)の判断基準
- 医師が「医療水準に従って治療を尽くしたか」が基準。
- 不作為(治療を怠る)も過失として扱われる。
- 判例では「専門医なら誤らないレベルの見落とし」は過失が強く認められる。
5. ワクチン・予防医療に関する法的論点
- mRNAワクチンは医薬品医療機器法の承認基準(14条の3)が重要。
- 副反応・死亡例の扱いは「因果関係の評価」「説明義務」「予見可能性」が争点。
- 接種後の健康被害は、国の救済制度や医薬品副作用被害救済制度の対象。
6. 医療倫理(ヒポクラテスの誓い)
法律よりも広い倫理的基準として位置づけられる。
医師は患者の利益を最優先し、秘密保持・誠実な医療を行う義務。
■TGS行政事務所としての取組
行政書士として、AIで争いの整理 また犯罪被害者支援にも関わるTGSにとりましては、
・被害者の治療方針と家族の意思決定
・医療事故と刑事責任の境界
・高齢者・障害者の人権と制度の限界
・終末期医療の法的位置づけ
などで、お役に立てればと考えております。

