―― 食品衛生法改正と設備投資・補助金のポイント

食品衛生法改正でお困りの漬物屋さん・小規模食品加工業向けに、設備基準対応と補助金活用をサポートします。
- なぜ今「地域の漬物」が消えつつあるのか
近年の食品衛生法改正により、
これまで家庭的な規模で作られてきた漬物にも、
大きなルール変更がありました。
• 以前:多くの漬物は、届出や許可なし で販売が可能
• 改正後:2021年施行、2024年6月で経過措置終了
• 漬物製造は「そうざい製造業」として営業許可が必須に
その結果、次のような負担が一気に増えました。
● 設備・施設基準の大幅な引き上げ
営業許可を取るためには、ほぼ次のような設備が必要です。
• 生と漬物工程を分けるための 作業室の区画分け
• 手洗い設備の増設
• 洗浄・殺菌用シンク の設置
• 温度管理のできる 冷蔵設備
• 汚染を防ぐための ゾーニング(区画分け)
→ 「家の台所」「倉庫の一角」での製造は、
そのままでは基準を満たしにくい状況になりました。
● HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の義務化
漬物屋さんも例外ではありません。
• 毎日の衛生チェック
• 温度記録
• 原料ロット管理
• 異物混入の管理
• 手順書の作成と記録保存
など、紙と記録の仕事が必ず必要になります。
● 経過措置終了後は「完全義務化」
2024年6月以降は、
• 必要な設備投資をしないと 製造自体ができない
• 許可が出ないので 販売も不可
となり、全国各地で 廃業・製造中止 が増えています。
「新しい衛生の考え方に対応するだけ」では済まず、
許可制度+設備投資+書類管理の三重負担 が、
小規模事業者には現実的に重すぎる――これが現状です。
- 食品システム計画認定で何ができるのか
こうした状況に対して、国は
「食品関連事業者計画(食品システム計画)」
という仕組みを整えました。
これは、
「現状の課題」と「改善の方向性」を
一つの計画書としてまとめ、国の認定を受ける制度
です。
お金そのものがすぐにもらえるわけではありませんが、
補助金・融資に直結する“公式の計画書”になります。
- 漬物屋さんが抱えやすい課題と、計画で書ける改善策 漬物屋さんに多いお悩みは次のようなものです。
- 衛生基準(設備)が足りない
- HACCPの記録が難しい
- 原材料(白菜・大根など)が安定して確保できない
- 規模が小さく、物流や販売ルートが弱い
- 後継者・担い手がいない
これらはすべて、食品システム計画の中心テーマです。
① 衛生設備の改善(→ 設備投資補助金につながる)
• 温度管理付き冷蔵庫
• 洗浄設備
• 作業場の区画分け(ゾーニング)
• 床や壁の耐水・清掃しやすい仕様
• HACCPデジタル記録システム
→ 計画に書いておくことで、
「食品省力化投資促進」や「省エネ設備更新」等の補助金の対象に。
② HACCP管理のデジタル化
• 温度記録の自動化
• 衛生チェック表のタブレット入力
• 作業工程のマニュアル化・見える化
→ 年配の方でも簡単に扱える形にすると、
記録の負担を減らしつつ、許可更新もスムーズになります。
③ 原材料の安定調達(農家との安定取引)
• 地元農家との契約栽培
• 規格外野菜の有効活用
• 共同仕入れ
• 農家×加工場の協力体制づくり
→ 食品システム計画では、この「安定取引」が最重要項目。
農家と一緒に生き残る計画をつくるイメージです。
④ 流通改善(物流2024問題への対応)
• 近隣事業者との共同配送
• 小規模事業者の共同出荷センター
• 道の駅・観光施設との安定供給協定
→ トラック不足・運賃高騰の中でも、
地域一体で商品を届ける仕組みをつくれます。
⑤ 後継者・担い手育成(事業承継)
• 親族内承継
• 第三者承継(地域の若い人・Uターン就農者など)
• 新規雇用の育成計画
• 技術継承のマニュアル化・動画化
- どのくらいの設備投資と補助金をイメージすればいいか
小規模な漬物工房の場合、
必要な設備投資の目安は次のようなイメージです。
• 衛生基準に必須となる工事・設備:100〜300万円
• HACCP対応の機器・デジタル記録:10〜40万円
• 品質・保存のための冷蔵庫・包装機など:60〜260万円
👉 合計すると、150〜400万円程度 が一つの目安です
(規模によって増減します)。
それに対して利用できる補助金は、
• 食品省力化投資促進事業:50〜1000万円
• 持続的食料システム確立対策:50〜2000万円
• ものづくり補助金:100〜1250万円 など
小規模事業者なら50〜300万円、中小規模なら300〜1500万円程度 の補助を狙えるケースが多く、
地域連携(農家+加工場+道の駅等)では1000〜3000万円超も十分可能です。
- TGS行政書士事務所のサポート内容
◎ 対象となる方
• 地域の漬物店・小規模食品加工業者
• 道の駅・観光施設向けの加工品を扱う事業者
• 農家と一緒に「地域ブランド」を守りたい方 など
◎ サポート内容
1. 現状ヒアリング(設備・原料・販路・人材)
2. 食品システム計画書(本文)の作成
3. 衛生改善・物流改善などの添付資料作成
4. 行政への申請・やり取りのサポート
5. 計画と連動した補助金・融資申請のアドバイス
6. 認定後のHACCP運用・共同加工場の仕組みづくり支援
地域の漬物を「やめるか続けるか」で悩む前に、
一度ご相談ください。
「共同加工場+計画認定」で、守れる方法を一緒に考えます。
