――文書の力と行政書士としての使命
最近の新聞に、アメリカとの貿易交渉において日本が受けた「口約束の裏切り」が大きく報じられていました。鉄鋼製品などに対する関税措置で、EUには特例が認められたのに、日本にはそれがない。日本政府は「非公式の合意があった」と主張していますが、それが証明できず、結果的に不利な立場に置かれています。
私はこのニュースを読みながら、ある海外での体験を思い出しました。
「日本人はなぜ文書を持ってこないのか」
かつて、海外で住宅管理会社にクレームを申し立てたときのことです。
こちらの主張は正当なものであると自信を持っていましたが、相手の対応は冷ややかでした。
そのとき、担当者にこう言われたのです。
「日本人は、なぜいつも文書を持ってこないんだ?」
私はその一言に、心の底から悔しい思いをしました。
確かに、言葉で伝えるだけでは、何も証拠に残らない。
その場限りの「口約束」は、都合よく忘れられてしまう。
それ以来、私はどんな場面でも、主張や依頼は文書で行うようになりました。
文書は「主張の道具」であり「証拠」である
この経験を通して私は、文書で伝えることの大切さを学びました。
そして、やがてその思いは「行政書士」という職業へとつながっていきます。
行政書士の業務の中で、私が特に重視しているのが「内容証明郵便」です。
これは、誰が、誰に、いつ、どんな内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれる制度です。
口では伝えにくいこと、忘れられたくないこと、そして後々のトラブルを防ぐための最も確実な手段です。
「伝えた」は「伝わった」ではない
日本社会では、つい「空気を読む」「阿吽の呼吸」といったあいまいな文化が根強く残っています。
しかし、国際社会ではそれは通用しません。
そして、国内でも法的な手続きや対立が生じたとき、「言った/言わない」では何も解決しません。
行政書士として、私はこうした「文書による主張」の重要性をもっと広めたい。
「内容証明なんて、大げさじゃないか」と思う方もいるかもしれませんが、
それがあったからこそ救われたケースを、私は何度も見てきました。
さいごに
あの時、海外で言われた一言が、今の私の原点です。
そして今、新聞を読みながら「やはり口約束では通用しない」と改めて感じました。
行政書士として、文書という武器をもって、あなたの「声なき声」を形にするお手伝いを続けていきたいと思っています。


