予見可能性と組織の法的責任

予見可能性と組織の法的責任

学校や会社などの組織において「いじめ」や「ハラスメント」が発生した場合、
問題となるのは単なる加害者個人の行為だけではありません。

組織がその兆候を把握していながら、必要な注意を怠った場合には、
善管注意義務違反(民法第415条 債務不履行責任) や
不法行為責任(民法第709条) に問われる可能性があります。

とりわけ、いじめやハラスメントは「予見可能性」が示されると、
再発時には組織が訴えられるリスクが格段に高まります。
「知っていたのに、何もしていない」という評価を避けることが極めて重要です。

行政書士が果たせる予防的役割

行政書士は、裁判の代理は行えませんが、
「裁判にならないように、事前にリスクを減らす」 ための文書作成で力を発揮します。

具体的には:
• 内容証明郵便 による当事者間の意思確認
• 注意喚起文書 や 再発防止策の記録 の作成支援
• 社内ルール・相談体制整備 の助言
• 再発防止措置の経緯文書化(「対応した事実」を証拠として残す)

これらはすべて「予見可能性があったにもかかわらず放置した」と評価されるリスクを避け、
組織が善管注意義務を尽くしたことを示す有効な手段となります。

まとめ

いじめやハラスメント問題において、
「記録」と「通知」を軽視してはいけません。

予見可能性が示された時点から、組織の責任は始まる と言っても過言ではありません。
だからこそ、行政書士が関与し、
「記録を残す」「内容証明で意思確認を行う」ことで、
将来的な紛争を未然に防ぐことが可能となります。

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