国・自治体の動きと企業の実務対応|愛知県シンポジウム参加レポート
カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)は、一部の「困った顧客」の問題ではありません。
医療・薬局・介護・小売・交通など、
社会の最前線で働く人を守るための「判断の仕組み」がいま、社会全体に求められています。
本ページは、同一シンポジウムにおける
•制度・法改正の整理
•現場で実際に行われている対応例
を統合し、実務に使える形で整理したものです。
1.制度の流れ(国・自治体の動き)
● 国の動き
•労働施策総合推進法(33条)
•カスハラは「社会通念を超える顧客等の言動」
•事業者には
•相談体制整備
•抑止・対応措置
を講じることが求められる
● 自治体の動き(愛知県)
•カスタマーハラスメント防止条例(2025年10月施行)
•罰則ではなくガイドライン・共通マニュアルによる運用
•相談員派遣制度の整備
👉 努力義務から「実務対応・制度設計」へ
2.カスハラ判断の基本枠組み
次の3点で総合判断します。
1.要求内容が不当か
2.行為が社会通念を超えているか
3.就業環境が害されているか
※ 正当な苦情・意見は除外
※ 違法行為は即別対応
3.企業が取り組むべき実務(3段階)
(1)事前予防
•基本方針の明示
•マニュアル整備
•従業員教育・研修
•相談窓口の設置
(2)初動対応
•組織対応(個人で抱え込まない)
•時系列での記録
•必要に応じ録音・録画
(3)事後対応
•被害にあった従業員への配慮
•再発防止策の検討
•継続的な教育
4.現場での対応事例
● 元Nハム(株)職員(製造・販売)
•不当な要求や執拗なクレームに対し社内マニュアルに基づく対応
•「対応の中断・打ち切り基準」を明確化
•本社管理部門と現場の連携
● S薬局(株)職員(調剤)
•店内掲示・動画による事前周知
•職員個人を守るため
対応時間・内容の線引きを明確化
•医療・介護特有の配慮と限界の整理
● Fパン(株)職員(小売・接客)
•クレームとカスハラの切り分けを共有
•現場判断を避け、管理者対応へ移行
•SNS投稿・撮影への明確な対応ルール
● X介護団体職員
•認知症等への配慮を前提としつつ就業環境を害する行為は容認しない
•家族対応の文書化
•訪問・居座り・拘束的言動への基準設定
5.なぜ「社会教育」が必要か
現場だけに判断を押し付ける対応は、限界があります。
•どこまでが正当な要求か
•どこからが越えてはいけない線か
を、社会全体で共有する必要があります。
これは
子どもから高齢者までを含む「人類生涯教育」の課題です。
6.行政書士としての関わり方
当事務所は、現場対応を代行する立場ではありません。
•判断が難しいケースの整理
•対応経過の文書化
•組織ルール・説明文書の整備
など、責任と判断を「見える形」にする支援を行います。

