遺言執行の確実な進め方|遺言執行者と遺産整理受任者の違いと活用
高齢化社会の中で、円滑な相続のためには「遺言の準備」だけでなく、それを誰が、どう執行するかが重要になっています。
今回は、遺言執行者と遺産整理受任者という2つの立場について、整理してお伝えします。
🔷 遺言書を確実に執行するために必要なこと
遺言書がせっかくあっても、それが実際に執行されなければ意味がありません。
そこで重要なのが「遺言執行者」の存在です。
- 遺言執行者は、遺言の内容(遺産の分配、遺贈など)を実際に手続きとして実現する人です。
- 特に遺贈や相続人の排除・廃除といった法的行為は、遺言執行者でなければ進められません。
したがって、自筆証書遺言であっても、遺言執行者の指定を忘れず記載することが大切です。
🔷 遺言書がない・遺言執行者が指定されていない場合は?
その場合でも、相続手続きは「遺産整理受任者」により進めることが可能です。
- 相続人全員の合意と委任があれば、行政書士などが代理人として預貯金の解約、不動産名義変更の資料収集等を一括して実施できます。
- 遺産整理受任者は、「もめていない相続」の手続き代理に最適です。
ただし、相続人のうち一人でも反対があれば進めることはできません。
🔷 自筆証書遺言を法務局に預けるメリットと注意点
2020年から、自筆証書遺言を法務局に預けておくことができる制度が始まりました。
- この制度を使えば、家庭裁判所の検認が不要になります。
- 死後、すぐに遺言の効力を生かして相続手続きに着手できます。
ただし、ここで重要な落とし穴があります。
それは「預けた遺言の存在を、遺言執行者が知らないと意味がない」ということです。
🔷 法務局に遺言を預けた場合のポイント
- 遺言の内容は秘密とされ、法務局から勝手に第三者に開示されません。
- そのため、生前に遺言執行者や信頼できる家族に、 「どの法務局に預けてあるか」だけでも伝えておくことが大切です。
🔷 まとめ
- ✅ 遺言書には遺言執行者の指定を
- ✅ 遺言がない場合でも、相続人全員の合意で遺産整理受任者を選任可能
- ✅ 自筆証書遺言は法務局保管制度を利用すると検認不要
- ✅ ただし、預けたことを信頼できる人に伝えておくことが必須
相続手続きはスムーズに見えて、ちょっとした準備不足で大きな混乱につながることもあります。
ご不安があれば、お気軽に当事務所へご相談ください。