代襲相続と数次相続の違いを押さえましょう

遺産相続や遺言書の作成において、代襲相続数次相続の仕組みを理解することは重要です。祖父母が亡くなった後、手続きが滞っている場合は特に注意が必要です。

代襲相続と数次相続の基本的な違い

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項目代襲相続数次相続
相続の対象祖父の遺産を直接承継父が相続した遺産を間接的に承継
基準となる時点被相続人(祖父)が死亡した時点祖父の死亡 → 父が相続 → 父の死亡時点

代襲相続とは

祖父が亡くなった際に、本来相続人である父がすでに死亡していた場合、孫が父に代わって相続権を取得します。このとき、孫が**祖父の死亡時点で生まれている(または胎児である)**ことが条件となります。

例:

  • 祖父(山田太郎)が2020年に死亡
  • 父(一郎)が2019年に死亡 → 代襲相続発生
  • 孫は2020年時点で生まれていない場合、相続権なし → 民法886条2項:「胎児であれば相続可能」

数次相続とは

祖父の遺産を父が相続した後、その父が死亡し、さらに子(孫)が相続するケースです。孫は父の死亡時点で生まれていれば、祖父からの遺産を承継できます。

例:

  • 祖父(太郎)が2020年に死亡 → 父(一郎)が相続
  • 一郎が2022年に死亡
  • 孫(二郎の子)が2021年生まれ

孫は一郎の死亡時点(2022年)に生まれているため、一郎の相続財産(祖父の遺産を含む)を承継できます。

実務対応のポイント

  • 代襲相続の確認
    • 祖父の死亡日が基準 → 孫がその時点で生まれていたか(または胎児であるか)を戸籍で確認
  • 数次相続の確認
  • 父(中間相続人)の死亡日が基準 → 子(孫)がその時点で生まれていたかで判断

結論

代襲相続は「祖父の死亡時点」が基準で、胎児でも相続可
数次相続は「父(一次相続人)の死亡時点」が基準で、それ以降に生まれた子には相続権なし

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