病院やクリニックは、命と健康を守るために多くの専門職が役割を分担しながら働いています。
しかし現実には、その職員の3割以上が「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に直面しているといわれます。
私自身、検査入院のときは「ありがとう」を何度も伝えましたが、実際には感謝の言葉が届かず、理不尽な要求や暴言が飛ぶ場面の方が多いのかもしれません。
だからこそ、医療の現場に合ったカスハラ対応マニュアル が必要です。
【第1】カスハラとは何か
• 暴言・暴力・無理な要求・威圧的態度・SNSでの誹謗中傷など
• 長時間の拘束、土下座の強要、院内撮影や録音の強行、人格否定や差別的発言 など
【第2】初期対応の基本行動
- できる限り冷静・中立的に対応する
- 単独で抱え込まず、複数人または上司に引き継ぐ
- 記録は正当な目的でのみ行う(不当な録音には警告可)
- 暴力や強い威圧行為は、直ちに警備や警察と連携を検討する
【第3】対応フロー(例)
- 兆候を察知する(声の大きさ・態度・言葉遣いなど)
- 警告や配慮を求める声かけ
例:「他の患者さまへの影響もありますので、ご配慮をお願いします」 - 上長や管理者への引き継ぎ(単独対応は避ける)
- 「いつ・どこで・誰が・何を・どうされたか」を記録
- 報告書・ヒヤリハットとして共有し、再発防止につなげる
【第4】記録と対応判断のツール例
• 「カスハラ記録票」テンプレート
• 「応対経過メモ」サンプル
• 電子カルテ向け「患者対応経過記録」
• 弁護士・行政書士と連携する際の報告フォーマット
【第5】病院の対応姿勢(患者向け掲示文例)
当院は、すべての患者さま・ご家族・職員が安全に過ごせる環境を大切にしています。
職員に対する暴言・威圧・不当な要求・差別的言動があった場合には、診療を中断し、必要に応じて警察や関係機関に通報します。
まとめ
カスハラは、患者や家族の不安の裏返しであることも少なくありません。
だからこそ、感情的に対立するのではなく、仕組みとして安全を守る ことが大切です。
TGS行政書士事務所では、医療機関向けに「カスハラ対応マニュアル」や「院内掲示文」の整備をお手伝いしています。
