学校法人における体罰・暴力・不祥事対応と専門家の役割

現状の課題:数字が示す教育現場のリスク

文部科学省の調査や各地の教育委員会の発表によると、学校現場では依然として深刻な問題が報告されています。
• 暴力行為全体:令和5年度、小中高で 108,987件(過去最多、前年度比14.2%増)
• 対教師暴力:そのうち 11,973件 が「生徒から教師への暴力」
• 体罰による懲戒処分:令和4年度、教員が体罰で処分を受けたのは 397件、被害児童生徒は 649人
• 東京都の事例:2012年度に182人いた「体罰を行った教員」は2019年度に19人へと大幅減少

👉 減少傾向はあるものの、「暴力行為」「体罰」「不適切指導」は今なお教育現場の安全を脅かす現実です。

弁護士が担う役割

こうした問題が発生すると、訴訟や損害賠償請求に発展する場合があります。
そのため弁護士は、主に以下の領域を担います。
• 損害賠償請求訴訟の代理
• 被害者や保護者との交渉
• 刑事事件化した際の対応
• 裁判所に提出する法律文書の作成

👉 弁護士は「裁判になったときの最後の砦」として、事後対応のプロです。

行政書士が担う役割

一方、行政書士は「予防法務」と「記録化」に強みを持ちます。
学校法人に対しては、以下の支援が可能です。
• 重大事態申出書・要望書 など教育委員会への文書作成支援
• 事実経過・記録の整理(体罰や不適切指導が疑われる場合の証拠保全)
• 学校と保護者の合意書・説明資料 の作成
• 再発防止のための相談体制・マニュアル の設計
• 内容証明郵便 による意思表示(改善要望・対応確認)

👉 行政書士は「裁判に至らせない仕組みづくり」を担う存在です。

両者の補完関係
• 弁護士:裁判・賠償・交渉 → 事後対応の専門家
• 行政書士:記録・仕組み・意思表示 → 予防対応の専門家

両者の役割は対立するのではなく、補い合う関係にあります。
行政書士が「記録と制度」を整えることで、弁護士が裁判で戦う際にも証拠が明確になり、学校法人にとっては 一貫したリスクマネジメント が実現できます。

まとめ

教育現場の安全を守るためには、
• 数字が示す現実(統計)を直視すること
• 弁護士と行政書士の役割分担を理解すること
• 未然防止と事後対応を両輪で進めることが欠かせません。

TGS行政書士事務所では、学校法人の「予防法務」として、文書化・制度設計を通じたリスク管理をサポートします。

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